[断片]光と闇の

闇を恐れ、より強い光を求めた者たちは灯りを点し街を照らし、
影を追い払おうとあらゆる手段を探しましたが、
彼等の身体にまとわりつく影は消えません。
どんなに照らしても、影は何処かに潜んでいるのです。
しかしある時1人の男が名案を思い付きました。
外から照らして駄目なら自分が光源になればいい。
男は躊躇わずガソリンを浴び、自分に火を付けました。
これで俺の身体の何処にも影の出来る余地は無い。
男の哄笑はガソリンの燃える音に掻き消されてゆき、
やがて残った黒焦げの遺骸は影だけが其処に残ったようでした。